マイナーチェンジされたプリウス


 2000年5月25日、プリウスのマイナーチェンジ(MC)が発表され、多くの点が改良された新型プリウスが発売されました。
 掲示板でも、MC後のプリウスについて購入したという情報が続々寄せられていますし、試乗した感想も多く掲載されています。実は、6月16日に東京でジャーナリストを対象にした試乗会があったのですが、トヨタのご厚意で私(やっちん)も参加する機会を得ました。その時の感想なども交えて、プリウスがMCでどう変わったかなど、論じてみたいと思います。


1.MC後のプリウスの呼称

 今回マイナーチェンジが行われたので、早速、掲示版上でもMC前のプリウスとMC後のプリウスをどう呼ぶかということで議論が行われています。つまり、旧プリウス、新プリウスでは、従来のオーナーさんに抵抗があるわけですね(^^;。
 まず、車の登録型式番号にNHW10とNHW11という違いがあるので、10型プリウスと11型プリウスと呼んだらどうかという提案、これは一般人には難解というコメントがありました。それでは、97年に開発され、2000年にモデルチェンジなので97式プリウス、ゼロ式プリウスはどうかという提案がありました。私はこの呼び方は有力ではないかと思っていたのですが、中古車情報などでおなじみのように通常生産年をさす「年式」と紛らわしいという反論がありました。
 ここで「初代プリウス」「MCプリウス」と便宜的に呼んでおきますが、呼び方については引き続き議論しましょう。

2.今回のマイナーチェンジによる変更点

 外観はほとんど変わっていませんので、一応はマイナーチェンジ(細部の変更という英語)と称しています。しかし、プリウス主査の大井さんに言わせると、今回のMCでは外観はともかく、抜本的な多くの変更をしたので、モデルチェンジ的な意味合いがあるとのことです。モデルチェンジなら、2代目プリウスと呼んでもいいのかもしれませんが・・・
 変わった点をまとめてみると、次のようになります。 

初代プリウス MCプリウス



バンパ− 前後のグレーのバンパーのコーナー・モールあり バンパーをフルカラー化
グリル開口部を大型化
ヘッド・ランプ 3つに分けた構成 2つに分けた構成にシンプル化
光量をアップ
リア・ライト 真ん中がオレンジ色の構成 真ん中がシャンパンゴールド色の構成
ドア ウインドウとの境界部分にクロム調のドアベルトモールを付加
ホイールカバー カバーの形状が三角形 カバーの形状が中心部の開いた形に変化
ボディーの色 アクア、パープル、グリーン、ブルー、
ホワイト(2種)、シルバーの7色
アクア、ホワイトのみ維持。その他の色は新色へ変更
エアロ (なし:サードパーティ仕様はあり) スタイリッシュパッケージ(リアスポイラー等)
フロント・ガラス 撥水機能付き
ドアミラー レインクリアリング機能付き(ハイドロテクト)
タイヤ ブリジストンB381が標準タイヤ









スイッチオン
時の表示
マルチディスプレーに、Welcomo to Prius Welcome to Priusの表示が消えた
マルチディスプレー 8連ボタンとジョイスティック的コントローラー タッチパネル方式を採用
情報画面 区間燃費は30km/lまで計測 区間燃費は40km/lまで計測
エンジンオフでも任意区間の通算燃費が計算可能
ナビパッケージ CD-ROM DVD
センター・クラスター 造形的な美を追究 スイッチ類の配置見直し
オーディオ・システムを追加
カセット カセットのみ カセットに加え、MDオプションあり
時計 マルチディスプレー内の表示 オーディオと一体型で独立表示する時計を新設
室内照明 室内灯のみ 室内灯のほか、前座席上部にパーソナル・ランプ新設
サイドパネル ウッド調パネルの採用
リア・シート 6:4分割可倒式シートによりトランクスルーを実現
リア・センターアームレスト新設
チャイルドシート オプションで組み込み型 ISOFIX方式固定バー設置
自動車キー ワイヤレス式 ハザードランプ点滅のアンサーバック機能が追加







エンジン 1NZ−FXE(水冷直列4気筒DOHC。1500cc)
最大回転数:4,000回転
最大出力:58馬力。最大トルク:10.4kg・m
1NZ−FXE(水冷直列4気筒DOHC。1500cc)
最大回転数:4,500回転
最大出力:72馬力(=53kw)。最大トルク:11.7kg・m
モーター 1CM
最大出力:30kw。最大トルク:31.1kg・m
2CM
最大出力:33kw。最大トルク:35.7kg・m
電池 40個直列。容量:6.5Ah 新開発バッテリー。38個直列。容量:6.5Ah
バッテリー体積60%減、重量30%減を実現。
燃費 28km/l 29km/l
排出ガス 規制値の1/10 さらにクリーン化を進め超低排出ガスを実現
クルーズコントロール クルーズコントロールを新設
ブレーキ 踏みしろが少ない
(かっくんブレーキであるが、すごく利く)
踏みしろが多い
(通常の車のブレーキと同感覚で操作可能)

 初代プリウスとMCプリウスの一番の見分け方は、バンパーに灰色のモールがないものがMC。

 この表をみて分かることは、本当に細部までつっこんでユーザーにとって使いやすくするために様々な改良を進めたということです。例えば、タッチパネル、独立した時計、パーソナルランプ等、私たちプリウスマニアで議論した声もかなり取り上げられたと思います。
 さらに動力性能のアップ、燃費のアップ、排出ガスのクリーン度のアップを成し遂げています。

3.試乗会時の大井主査による説明

 6月16日の試乗会の際には、プリウス主査の大井さんが自らMCプリウスについてプレゼンテーションを行いました。その内容を私のメモにより、再現しますと、次のような内容でした。

4.MCプリウスの試乗とその印象

 この後、いよいよ試乗となりました。私は、アクアのスタイリッシュ仕様を施したGグレードのMCプリウスに乗り込み、会場の周辺を30分程度運転することができました。

 まず、内装の印象ですが、初代プリウスのGセレクションをベースにして質感を高め ていることが見て取れました。人工表皮を使ったシート、リヤセンターのアームレ スト、本革巻きステアリング等です。インパネの中央に置かれたオーディオシステムには独立のデジタル時計が組み込まれ、ドアのアームレストにはウッド調のパネルです。
 多くの改善点には、大賛成なのですが、この際、気になった点だけを書いておきます。
 第一に、キーを回して始動したときに、例の「welcome to Prius」という表示がなくなってしまったことです。プリウスとマッキントッシュの比較論が掲示板でもありましたが、あの歓迎メッセージにプリウスの人格を感じたユーザーは多かったと思います。この一番重要な、最初のフィールを決定づけるメッセージをなぜ消してしまったのでしょうか。この点は本当にがっかりしました。
 第二に、インテリア全体から受ける印象については、初代プリウスの未来的な部分が薄まったという感じです。これは、まったく個人の感性の問題なので、好き嫌いがあると思います。初代プリウスのインパネは真ん中にカセットテープ用のスロットだけがあり、ボタン配置も少し左右につり上がり未来的な印象を強く受けていたのです。これに対して、MCプリウスでは黒いオーディオ・モジュールの設置とボタン配置、そして高級感を出すためのウッド調パネル等とあいまって、初期デザインの鋭角的な部分が弱まっているなあという印象を受けました。

 さて、実際の運転です。会場周辺は大渋滞で、実はほとんどスピードを出せない状態でしか運転ができなかったのですが、そうした制約の中での感想となってしまいます。まず、ブレーキ。これは普通のクルマと同じになっていました。私としては、もはやかっくんブレーキになれてしまったので、「あっ!ブレーキが利かない」と感じて最初は戸惑いましたが、普通のクルマから乗り換える人にとっては、まったく違和感のないブレーキに仕上がっています。
 静寂性アップのはずなのですが、大渋滞の中で周りのクルマがうるさすぎてどれだけ静かになったのか体感することができませんでした(TT)。あつい日だったのでエアコンをつけて走りましたが、最初の5分は7km/l程度でその後10km/l程度で横這い状態が続きました。あまりの渋滞であり、かつ、エンジンをぶん回す運転方法としていたとは言え、燃費が全然上がらないことが気になりました。そこで、5分間だけエアコンを切り、燃費に気をつけたアクセルワークをしてところ、燃費は20km/l以上に跳ね上がったので、ポテンシャルとしてはちゃんとしているなと納得してまたエアコンをつけたのでした。

 そんなことを繰り返しながら運転しましたが、本当に残念ながら、都内渋滞道路では初代プリウスとMCプリウスの違いを感じるまでに至らなかったというのが結論でありました。いずれにせよ、今回のMCの中心的な課題は高速時のパワーアップであったわけで、今回のような渋滞時では体感するべくもなく、泣く泣く試乗を終了したのでありました。できれば、高速道路や郊外の道路を使って中高速時にどのような挙動をするのか、体感してみたいという欲求がふつふつと沸き上がってくることになりました。(トヨタさん別の機会によろしくね)

5.トヨタ技術陣とのお話し

 試乗から帰ってくると、トヨタの技術陣の方々と少しお話をすることができました。会話風に再現すると、こんな感じでした。

やっちん:いろいろ改良されていますが、今回のMCにはプリウスマニアの情報も参考にしたのでしょうか?
トヨタ:もちろん独自の情報ルートもありますが、プリウスマニアはよく見てますよ。やはり書かれたことには対応しなければという感じですね。一時、ライトが暗いという議論がありましたね。ライトは明るくしましたよ。そのほかの点も参考になっています。

やっちん:バンパーのコーナーモールは、擦った際にそこだけ取り替えればよいということで、消費者負担を軽減し、リサイクル性を高めたという議論のはずだったのですが、今回オールカラー化したことへの批判があるのではないでしょうか?
トヨタ:その点については、初代プリウスのバンパー修理の統計を取っていまして、コーナーモールだけ取り替える事例が皆無に近いという実態が明らかになりましたので、コーナーモールを廃止することにしました。

やっちん:プリウスはすべてプログラムでコントロールできるはずですから、お買い物モードとか、渋滞モードとか、高速モードとか、切り替えられるようにしたらとっても面白いと思うのですが。できませんか?
トヨタ:法律的な規制があるので、困難でしょう。

やっちん:今回のMCでインテリア・デザインの改良は、従来のトヨタ趣味の方向に行ってしまったのではないでしょうか?プリウスが本来持っていた未来的な鋭角的な方向性でチャレンジしてほしかったと思いますが、その点はいかがですか?
トヨタ:そうしたご意見があることはよく理解します。しかし、デザインの感じ方は個人個人で千差万別で、社内でもいろいろ議論した結果です。お客様により受け入れてもらえる方向を考えています。

6.感想

 今回のマイナーチェンジについては、プリウスマニアを始め、ユーザーの声を実によく反映して、きめ細かなところまで本当によく、改良を加えたものだなというのが、率直な感想です。このため、動力性能アップやトランクスルー等、使い勝手は格段に向上していると思います。もう一台ほしくなるくらいですね。(^^)

 今回のマイナーチェンジの中で、色の問題はあまり議論されていないのですが、私の所有するグリーンマイカ色がなくなってしまって、ちょっと残念であると同時に、もはや販売されない色ということで希少価値が出てよいのではないか、なんて思ったりもしています。(グリーンが売れない色なので廃止したことは理解できるのですが、パープルは売れていた色のはずなのに何故やめたのか少し不思議ですね。)

 ところで、今回のプリウスのマイナーチェンジのテーマは、「より普通のクルマらしく」ということだったのかなと思います。
 プリウスマニアのコアユーザーにとっては、慣れてしまった「よく利くブレーキ」や、話題のネタとなる「カメマーク」も、普通のユーザーにとっては、乗り越えにくいバリアなのでしょう。したがって、プリウスが3万7000台登録された現時点において、初期のコアユーザを対象にした「鋭角的なクルマ」から、より広範な普通のユーザーを対象にした「普通のクルマ」にすることが、より多くのプリウスを販売する方法であると、トヨタが考えたのではないかなあと、私は勝手に想像しています。
 もちろん、私としては、このすばらしいクルマがより多くの人に体験してもらえることを歓迎する意味で、このトヨタの考え方は理解できます。そして、同時に、今後とも、プリウスがその先進性の輝きを失わないように、普通のクルマの中に埋没することのないように、がんばってもらいたいと思っています。


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